高麗人参の栽培の現状やその方法を紹介
2021.09.18高麗人参
古くから生薬や漢方薬の原料として利用されている高麗人参。
今回のコラムでは、高麗人参における基本的な情報、日本国内における生産の現状、実際の栽培がどのように行われているのか紹介していきます。
高麗人参とは
高麗人参は、古くから生薬や漢方薬などとして利用されており、朝鮮人参、薬用人参やオタネニンジンと呼ばれています。この高麗人参に含まれる「サポニン(ジンセノイド)」がもつ、滋養・強壮などの多様な効能に注目が集まっている薬用植物です。
日本における栽培の現状
高麗人参(薬用人参)の栽培面積は、昭和61年の636haをピークに減少し、現在では長野県や福島県の一部(18ha程度)で栽培が続けられている程度です(1)。
そのため、原料の大半は、中国など諸外国からの輸入に頼っているのが現状です。このような状況に陥っている理由の1つとして、高麗人参の栽培期間が非常に長いという点が考えられます。
高麗人参の栽培
高麗人参の栽培には、「5~7年」の長期間を必要とすることが、日本国内での栽培が伸び悩んでいる1つの要因であると考えられます。
一般的な栽培方法
一般的な手順としては
- ・種子を採取し催芽(発芽)させる(1年目:7月~8月)
- ・苗床への移植(1年目:11~12月)
- ・2年目まで生育させた苗をほりあげ選別、畑へ移植
- ・畑での養成期間中(地下部を肥大させる期間)は、除草、摘花、病害虫防除や施肥などを適宜行い続ける
- ・畑で5~6年目まで生育したら、手作業掘り取り、根部を利用する
(詳しくは、こちら(薬用作物栽培の手引き~薬用作物の国内生産拡大に向けて~オタネニンジン編~、農研機構発行をご覧ください)(2)
というように、播種から収穫までの期間が非常に長期間にわたるとともに、栽培管理にも多くの手間がかかる点が、高麗人参における栽培の特徴であり欠点といえるでしょう。
他の野菜であれば、どれだけ長いものでも1年以内にその栽培は終了するのが一般的です。このように長期間、手塩にかけて栽培しなければいけないという点が、栽培が広がらない1つの要因となっている可能性があるでしょう。
省力かつ栽培期間の短縮に関連した研究が実施されている
このように、高麗人参栽培上の問題点の1つは、栽培における作業量の多さや栽培期間の長さがあげられ、改良に向けてさまざまな研究が、日本国内でも実施されています。
山梨県では、高麗人参(薬用人参)の栽培省力化のため、栽培期間中に必要とされる、摘花、間引き、施肥を行わなくとも栽培ができないか検討が行われている事例があります。
その結果、摘花を行わなかったことにより、新たに作られた種子が発芽してしまったことで、1植物あたりの根の重量は軽くなるという欠点はあるものの、薬用成分であるジンセノシドについては、省力的な栽培法でも、十分に得ることができた(3)ことが報告されています。
また、オタネニンジンは冬季には成長が抑制される休眠をいう現象が生じます。この休眠打破(休眠から覚める)には低温を感知する必要があります。
そこで、オタネニンジン栽培に、低温処理を組み合わせ、強制的に休眠を打破することによる栽培期間の短縮(4)もまた検討が始められています。
栽培が大変な高麗人参、省力的な栽培法の検討が進められている
滋養・強壮によいとされる、ジンセノシドが含まれる高麗人参ではありますが、その栽培の煩雑さや、栽培期間が長期にわたってしまうという欠点から栽培が非常に難しく、日本国内における栽培はほとんど行われなくなってしまったのが現状です。
今回の記事の中では、管理を粗放的(例;摘花や間引きを行わない)にすることで省力的に栽培する例や低温処理を組み合わせることによる栽培期間の短縮例を紹介しました。
これらの方法により、省力的かつ短期間で高麗人参を栽培できる方法の検討が進められています。
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参照元URL
(1)https://www.maff.go.jp/kanto/seisan/engei/tokusan/sanchi/pdf/28yakuyouninjin.pdf
(2)https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/Otaneninjin_warc_man2021.3.15.pdf
(3)https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010930143.pdf
(4)http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_091_suppl_396_411_abstract.pdf