植物の生育に必要な肥料成分とその役割とは

2021.07.24水耕栽培

窒素・リン・カリウムをはじめとした肥料成分は、作物や野菜などが正常に生育するために不可欠な成分です。
今回は、各肥料成分が植物の生育にどのような役割を有しており、各肥料成分が過剰・欠乏条件に陥ると、どのような問題が生じるのか見ていきたいと思います。

植物の生育に必要な肥料成分とは

植物の生育に必要な肥料成分は大きく「多量要素」と「微量要素」の2種類に分けることができ、合計17の成分が関与しているといわれています。

多量要素:水素、酸素、炭素、窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄
微量要素:鉄、マンガン、亜鉛、ホウ素、銅、塩素、モリブデン、ニッケル

多量要素の中でも水素(H)と酸素(O)は、水(H2O)の分解によって、炭素は植物の光合成によって自然界から得ることが可能なため、肥料として施用する必要はありません。
一方、その他14成分については必要に応じ肥料分として土壌や培養液に供給する必要があります。なお、この肥料成分は化学肥料や有機物により供給されるのが一般的です。

肥料成分が過剰・欠乏条件に陥った場合には植物の生育が悪くなってしまったり、収穫した果実に生理傷害が生じるなどの問題があげられます。
そのため土耕栽培であっても、水耕栽培であっても、植物が正常に生育できるように肥料成分の量を適切に管理することが必要となってきます。

ここからは、それぞれの肥料成分がどのような役割を持っているのか見ていきます。

代表的な肥料成分の役割とその不足時の問題点

今回は肥料として必要な14成分のうち、特に肥料としての必要量が多い、窒素、リン、カリウムの3大要素に着目して、それぞれの役割と過剰・欠乏時に生じる問題点を見ていきます。

窒素

役割

タンパク質の構成成分であり、光合成(植物がエネルギーを作る反応)に必要な酵素を生成する役割があります。そのため、光合成を盛んにし、生育を促進するために必要な成分と考えられています。

欠乏時

葉が黄化(光合成に必要なクロロフィルが合成できないため)し、植物の生育が抑制、収穫量が減少することが問題となります。

過剰時

病害虫への抵抗性に関与し、過剰時には抵抗性が低下すると考えられています。 

リン

役割

核タンパク質(DNAなど)の合成や植物体内のエネルギー伝達物質であるATPの合成に不可欠な成分です。さらに、根の生育の促進や開花結実を良くする効果があります。

欠乏時

開花結実が悪く(果実がなりにくくなる)なり、果実類では甘みが少なくなるなど品質低下にも繋がると考えられています。

過剰時

リン自体の過剰害は発生しにくいといわれています。その一方で、他の肥料成分を吸収しにくくさせ、欠乏害を誘導する可能性があります。

カリウム

役割

細胞中にイオン(K+)として存在し、炭水化物の合成、移動や蓄積に影響します。また、浸透圧調節物質として植物体内の水分生理に関わる物質です。

欠乏時

植物の生育不良のほか、果実の肥大が抑制され、味・外観ともに悪くなるという問題が生じます。

過剰時

リン同様に他の肥料成分を吸収しにくくさせ、欠乏害を誘導する可能性があります。

その他の肥料成分

肥料成分の不足は果菜類を中心に、果実の生理障害の原因となると考えられており

・トマト・ナス・ピーマン(尻腐れ果):カルシウムの不足
・キュウリ(くびれ果):ホウ素の不足

というように、肥料成分の不足により、果実品質の低下や時に出荷ができないような果実になってしまうことが問題として挙げられています。 

肥料の適切な管理が重要

植物の生育の最適化やおいしい野菜を収穫するためには、適切な肥料管理が大切です。
実際の栽培においては、各都道府県などが作成した施肥基準を参考に管理がおこなわれることが多いようです。

次回のコラムでは、土耕栽培と水耕栽培をはじめとした養液栽培における施肥方法の違いや特徴について紹介していきます。


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