水耕栽培は、再現性の高い栽培を可能にする技術

2021.03.12水耕栽培

水耕栽培を利用した場合、地下部の生育培地には培養液を用います。このような特徴から高付加価値の野菜を再現が度高く、安定的に栽培することが可能です。

一方、土耕栽培の場合では養水分の精密管理は困難をきわめます。

今回は、なぜ水耕栽培では再現度高く、安定的に栽培が可能なのか紹介していきます。

土耕栽培では、養水分の精密管理は困難

土耕栽培の場合、野菜の定植前に土壌中に含まれる栄養分(窒素・リン・カリなどの肥料成分)の調整を行います。そして、この栄養分は一般に土壌に吸着され保持されます。

この「栄養分が土壌に吸着される」という特徴は、通常の土耕栽培をおこなうにあたって重要な点です。もしも土壌が栄養分を吸着できない場合、施用した栄養分は畑の外へと流れでてしまい、野菜の生育が悪くなるとともに環境汚染の原因となってしまいます。

一方で、野菜において特定の成分を少なくするような栽培(たとえば、葉菜類におけるシュウ酸含有量を減らすなど)では、生育途中で一部の栄養分を減らして生育させるような処理が必要となります。しかしながら、土壌に吸着された栄養分を適宜減らすことは困難です。

これは、土壌中に含まれる水分についても同様で、特に屋外(露地栽培)では、雨量により左右されてしまいます。

水耕栽培では、養水分を精密管理できる

その一方で、水耕栽培の場合には地下部条件の精密管理は比較的容易です。この利点を活かすことにより

  • 高付加価値の野菜を再現性高く、安定的に供給できる
  • 生産者にとっても、収穫時期を制御しやすい

といったようなメリットにつながるものと考えられます。

高付加価値野菜を再現性高く、安定的に供給できる

食の多様化に伴い

  • 糖度が高く甘い(高糖度トマトなど)
  • 特定の成分が少ない(シュウ酸が少なく、生食できるホウレンソウなど)

このような特徴を持った野菜が、近ごろ人気を集めています。

水耕栽培を利用することによって、付加価値のある野菜を安定的に供給できる可能性があります。

水耕栽培の場合、野菜生育の培地となる培養液の養水分条件を精密管理することが可能(栄養分が液体に溶けているだけであり、この濃度を調整することができるため)であることから、野菜の生育ステージごとに、培養液の濃度などを容易に調整することも可能であり、再現度高く、高付加価値の野菜を生産することが可能です。

なお、水耕栽培は野菜の地下部の生育環境を制御することが可能な技術ですが、人工光型植物工場など(詳しくはこちら)の技術を併用することで、地上部についても精密管理することができれば、生産物の品質をさらに高めることもできると考えられます。

農業生産者にとっても、再現性が高いことは利点となる

水耕栽培による地下部生育環境の精密制御や栽培施設(ビニールハウス、ガラス温室や植物工場など)を併用した畑の場合を考えてみましょう。気温や光量といった地上部の生育に影響を与える要因について、精密制御を行うことができる畑では

  • 野菜を植えた後、収穫までの日数がある程度予想できる
  • 環境変動が少ないことから、野菜の安定的に収穫できる

といったようなことから、農業生産者(特に大規模農場)にとっても

  • 収穫繁忙期の労務管理が容易になる
  • 安定的な出荷が可能となる

というメリットがある技術といえます。

水耕栽培は、消費者にも農業生産者にもメリットのある技術

このように水耕栽培は再現度が高く、安定的な栽培ができるため、消費者がいつでも高付加価値の野菜を手に入れることが可能になります。それに加え、農業生産者にとっても労務管理や安定出荷の面から優位性のある栽培方法であると考えられます。

このようなことから、消費者にとっても農業生産者にとっても利点のある技術といえるのではないでしょうか。


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