水耕栽培は、水質汚染を引き起こしにくい

2021.03.14水耕栽培

近頃、高品質な野菜を栽培可能なことや空間を立体的に利用できることなど、多様な面で注目されている水耕栽培ですが、環境の保全にもつながる可能性を秘めています。

一般に土耕栽培では、野菜の定植前を中心に化学肥料を施肥しますが、畑によっては肥料成分が雨水により流され、水質汚染の原因になっている事例も報告されています。

一方、水耕栽培では、このような水質汚染を防ぐことができる可能性があります。

土耕栽培における肥料と環境汚染

野菜をはじめとした農作物の生育には、窒素・リン・カリをはじめとした、多様な肥料が不可欠です。

栽培を続けていくと土壌中のこれら肥料成分が不足することから、化学肥料などを使用することで土壌中の肥料成分の維持をはかっているのです。

特に現代の農業では、同じ畑を利用して幾度も同じ野菜を栽培することが多くあります(これを、連作と呼びます)。そのため、畑における肥料成分の不足に対して多くの化学肥料等を畑に投入する必要があります。さらに、収穫量を多くすることを目的として過剰に肥料が投入されてしまう事例もみられます。

畑の肥料成分の調整には、有機物(腐葉土など)や化学肥料が多く用いられます。

特に、化学肥料は堆肥に比べ、一般に肥料成分が濃いことから非常に便利です。しかし、化学肥料の多用は地力(保肥力など)の低下につながるといわれています。さらに、過剰に施肥された肥料成分や植物に利用されなかった肥料成分については、地下へ浸透してしまったり、雨などにより水系に流れ出し、水質汚染の原因ともなっています。

水耕栽培では、水質汚染の心配が少ない

一方、水耕栽培では栽培のために利用される培養液を正しく利用することで、土耕栽培に比べて肥料成分が流亡することによる水質汚染への影響は少ないと考えられています。 

水耕の培養液は隔離されており、回収も可能である

水耕栽培は専用の栽培ベットやタンクを利用し、土壌とは隔離された環境において培養液を利用して栽培をおこないます。

このことから、培養液に施用された肥料成分は土壌などに浸透することはありません。そのため、野菜の栽培後に余った(利用されていない)窒素肥料などを回収することは比較的容易です。

また、使用後の培養液を処理する仕組みも開発されており、土耕栽培に比べて肥料成分が系外に放出されることが少なく、環境への負荷が低い農法とも考えられます。

培養液の再利用を積極的に行う

また、水耕栽培後の培養液にも多くの肥料成分が残っています。

そのため、この培養液の再利用も積極的におこなわれています。野菜等の栽培により吸収された分の肥料成分を追加し、培養液中の肥料成分濃度を補正することや病害対策のため、培養液の滅菌をおこなうことにより、再利用できるようにする取り組みが積極的におこなわれています。

適切な処理を行えば、水耕栽培は環境汚染が少ない

緑の革命以降、世界中で農作物の増収が達成されました。しかしその一方で、化学肥料が多量に利用されるようになり、その弊害として農作地自体における塩類集積や、肥料成分が水系に流れ出し、水質汚染や富栄養化につながってしまっているのも事実です。

水耕栽培の最大の特徴は、土壌を利用せず、培養液を栽培に利用するとともに、この栽培液が専用の栽培ベットやタンクで隔離されている点といえます。

この特徴は、野菜の高品質化のための施肥管理が容易になるという特徴のみならず、外部から与えた肥料成分が農地外に漏れだすことを防ぐことにつながると考えられます。

このため、水耕栽培は高品質な野菜を得ることのみでなく、施肥管理の面では環境への負荷を減らすことも可能な技術と考えられます。


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