水耕栽培のメリットとは

2020.10.19水耕栽培

水耕栽培のキットが家庭向けに発売されるなど、一般的になってきた水耕栽培ですが、どんな栽培方法かご存知でしょうか。
今回は「水耕栽培」のメリットを紹介していきます。

日本でも徐々に広まり始めている水耕栽培ですが、園芸先進国であるオランダでは果菜類の栽培のほぼすべてが水耕栽培や養液栽培が占めるほどポピュラーな栽培方法となっています。
このように広まりつつある水耕栽培には土耕栽培(通常の土壌を使用した栽培)に比べ、多様なメリットがあります。

今回は多様なメリットの中から3つをご紹介します。
・土壌病害や連作障害が回避できる点
・生産物の高品質化が可能な点
・IT技術による自動化・省力化と相性が良い点

メリット1:土壌病害や連作障害を回避しやすい

土耕栽培を行っていると土壌病害や連作障害がたびたび発生します。これらの原因としては、連作により特定の土壌微生物が優勢になってしまうこと、過剰施肥を原因とする塩類集積や特定の肥料分のみが欠乏すること、微量要素が欠乏することなど、多様な要因が重なりあって発生するものと考えられています。

このことに対し土耕栽培では、輪作・土壌殺菌、肥料の投入量を調整することで対処する必要が出てきます。
しかし完全に連作障害を抑えることは困難な場合も多く、最終的には抵抗性を持つ品種を利用することも行われます。

一方、水耕栽培では培養液を通じて植物体に栄養分を届けるわけですが、土壌に比べ容易に交換することも可能であることから、土壌病害や連作障害の回避は容易にできるという点がメリットとして挙げられます。

メリット2:生産物の高品質化が望める

例えば高糖度トマトを生産したい場合、土耕栽培では一般に灌漑水量を極力削減することにより高糖度化を目指します。
一方、水耕栽培であれば養液の塩類濃度を上げることで(溶液の浸透圧を上げる)根の吸水量を減らし、高糖度トマトの生産を行うことも可能です。
また高糖度化のみでなく、特定成分を増加・減少させることも水耕栽培と組み合わせることで行うことができます。

近頃よく聞く「サラダホウレンソウ」は、水耕栽培との組み合わせで生産が広まったように思われます。ホウレンソウには一般にシュウ酸が多く含まれており、これはえぐ味を感じる成分として知られてます。このえぐ味成分蓄積の原因としては、窒素肥料分との関係がよく知られています。
水耕栽培であれば、栽培途中でも容易に養液中の肥料成分組成を調整することも可能であるため、シュウ酸含量が少ないホウレンソウを栽培することも可能となりました。
このことから、水耕栽培では消費者にのぞまれる高品質で高付加価値の農産物を生産することも可能です。

メリット3:IT技術による自動化・省力化との相性がよい

土耕栽培では土壌中に残留している肥料成分や土壌特性により、施肥量を適宜調整する必要が出てきます。
一方、水耕栽培では培養液の組成等については、ある程度基準が決まっていることや培養液中のECおよびpHレベルを監視しながら調整することも可能なため、比較的容易に管理を行うことが可能であると考えられます。

また、一般的に水耕栽培は温室などの施設と併用される事例が多いと考えられますが、地下部の養液条件のみでなく、地上部の気温、湿度、日射量および二酸化炭素濃度をはじめとした植物の生育に関与する各種環境条件を測定することで地下部のみでなく、地上部も含めて植物が生育しやすい環境に自動制御することも比較的容易であると考えられます。
このことから、水耕栽培は今後さらに広まると考えられるIT技術を用いた農業の自動化や省力化と相性の良い技術であると考えられます。

まとめ

今回のコラムでは水耕栽培の利点を中心に紹介しましたが、導入コストが高いというデメリットがあることも事実です。
一方で高品質な生産物を生産し、販売単価の向上が見込まれる可能性があります。また、農作業の自動化割合が上昇すれば一人あたりの耕作可能面積も広がり、人件費の抑制へとつながります。これらのことから、水耕栽培の導入コストを上回る収益向上も可能であると考えられます。消費者の農作物へのニーズの多様化(高糖度果実や、食の多様化)、農業従事者の減少や高齢化という課題に対し、水耕栽培は今後の農業における1つの将来像になるのではないでしょうか。

当社で取り扱う水耕栽培の高麗人参について詳細はコチラ


高麗人参や水耕栽培にご興味のある方は
お気軽にお問い合わせください

お問い合わせ