水耕栽培は農薬利用を減らし、安心安全な野菜を作ることのできる技術

2021.02.5水耕栽培

農作物を栽培にするにあたり、問題となるのが病害虫です。
病害虫が多発すると収穫物の見た目が悪くなるだけでなく、場合によっては植物体が枯死してしまい、栽培どころではなくなってしまいます。そこで現代の農業では、農薬による病害虫防除をおこなうことが主となっています。
一方、消費者からすると「できれば農薬を利用していない野菜を食べたい」という思いがあります。
そこで今回は、水耕栽培における農薬使用の実際について通常の土耕栽培(土を用いた栽培)と比較して紹介していきます。

農薬は安全なのか?

まず「農薬は安全なのか?」という点が心配になるのは確かです。
この点に関しては、残留してしまう農薬による健康に対する影響は十分に検証がおこなわれており、影響がでないように使用基準が定められています。そのため、この使用基準を守って利用すれば害はないと考えられています。
さらに、使用基準を守っていない農作物は出荷することができないため、市販の野菜が危険ということはないと考えてよいでしょう。しかしながら、消費者の側からすれば心配が残るのも事実ではあり、無農薬栽培の野菜が求められているのも、また事実です。

連作障害と農薬

同じ畑で同じ野菜や似た野菜を作り続けていると「連作障害」と呼ばれる生育不良等の障害が生じ、最終的には収穫量の減少や植物体の枯死へとつながります。

土耕栽培の場合

土耕栽培における究極の連作障害回避方法は、輪作(異なる種類の植物を順に生育させる)です。
しかし、収益をあげるためには同じ野菜を作り続ける必要も出てきます。そこで、土耕栽培では、
・農薬
・太陽熱
これらによる土壌消毒を行うとともに、
・抵抗性(病害虫に対し抵抗力のある)品種の利用
このような方法によって、連作障害を防ぐ工夫が行われています。このように、連作障害の回避には必要に応じて農薬を使用する必要が出てきます。

水耕栽培の場合

一方、水耕栽培では野菜を育てるための培養液は交換可能であることから、土壌病害虫による連作障害は土耕栽培に比べ発生しにくいといわれています。
しかし、この水耕栽培にも弱点がないわけではなく、一度発生してしまうと培養液を通じて容易に蔓延してしまいます。このようなことから、利用する資材について
・熱もしくは太陽熱による殺菌
・紫外線による殺菌
・オゾンによる殺菌
これらのことを十分におこなうことで、病害を発生させない工夫が行われています。

生育環境によっては、地上部も無農薬栽培が可能

現在、新たな農法として注目されている植物工場では、その生育培地には土壌ではなく水耕栽培等の養液栽培を利用することが一般的です。
植物工場では一度病害虫が発生すると被害が拡大しやすい傾向にあることから、まず病害虫を持ち込まない工夫(エアシャワーの利用、作業用ガウン着用など)が行われています。
そのため、無農薬栽培がおこなわれることが大半であり、洗わずに食べることができるクリーンな環境で生育させた野菜も流通しはじめています。
水耕栽培は消費者が求める「安心・安全」な野菜を作れる技術
このように、水耕栽培では培養液を入れ替えることが可能という特徴を生かし、土壌で多発し問題となっている連作障害を農薬を利用することなく回避することも可能です。
さらに、水耕栽培が多数導入されている植物工場と呼ばれる栽培法では、地上部における病害虫防除に対し、農薬の利用ではなく、まず工場内に持ち込まない工夫がなされています。
このことから、消費者が求める「無農薬・減農薬」で「安心・安全」な野菜を作る環境を水耕栽培の技術を通じて提供することが可能です。
また、これらの付加価値を付けた野菜の生産に用いられることにより、今後さらに普及することが期待されている技術です。

この連作障害に対する対応法は、土耕栽培と水耕栽培では大きく異なってきます。


高麗人参や水耕栽培にご興味のある方は
お気軽にお問い合わせください

お問い合わせ